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理不尽で悪質なクレーマーを撃退!初心者でもすぐに使えるクレーム対応術

> 悪質クレーマーの手口

理不尽な悪質クレーマーとは?
手口を知っておけば恐くない

 悪質クレーマーは担当者に恐怖を感じさせたり、パニックにして冷静な思考ができないようにして無理難題や理不尽な要求を受け入れさせようとしてきます。しかし、予め悪質クレーマーの手口を知っておけば冷静に対応することができます。

<この記事の著者>
 クレーム対応アドバイザー 武中俊浩※
クレーム対応は担当者の精神的負担が大きい仕事ですが、解決しないクレームはありません。クレームをスムーズな解決に導く流れやテクニックについて、わかりやすく解説していきます。

目次


悪質クレーマーとは


■ 悪質クレーマーは2通り存在する
 クレームのほとんどは、商品やサービスになんらかの問題があり、支払った対価に見合わないと感じたお客様の正当な主張です。

 しかし、一部には理不尽な主張をし、お店や会社に不当かつ過剰な要求をして損害を与えるお客様がいます。このような人を「悪質クレーマー」または「モンスタークレーマー」と呼びます。

 悪質クレーマーは何が何でも自分の要求を飲ませようという姿勢で臨んできます。悪質クレーマーには2通りあり、1つは通常のクレーム対応がうまくいかず、通常のお客様を悪質クレーマーに変貌させてしまったケース、もう1つは最初から理不尽な要求をして金品を脅し取ろうと意図しているケースです。

■ 自作自演で金銭を要求することも
 後者の場合は、クレーム内容そのものに根拠がない場合もあります。自分で商品に傷をつけたり、服にシミをつけたり、料理に異物を入れたりするなどの自作自演をし、それらをお店のせいにすることで金品を脅し取ろうとしてきます。

 一昔前の悪質クレーマーと言えば、暴力団関係者などがお店や会社に客を装ってクレームをつけ、金銭を脅し取るケースがほとんどでしたが、最近では一般人でも同様の行為に及ぶ悪質な事例が目立っています。

 そのような悪質クレーマーが一部にはいるということを認識し、日頃から対処方法について従業員教育を行っておくことが大切です。

ポイント
最初から金品を目的としている悪質クレーマーはお客様ではありません。そのようなクレーマーがいることを理解し、日頃から対処方法を検討しておきましょう。

悪質クレーマーは突然奇襲をかけてくる

  金品を要求するのが目的の悪質クレーマーの場合、どのようにクレームをつけるか、どのように話を持っていくかなど、事前準備を周到にした上で突然奇襲攻撃を仕掛けてきます。

 大抵の人間であれば、突然訳のわからないことで怒鳴られればパニックになり、頭が真っ白になります。悪質クレーマーはそこが狙い目で、パニックになって思考能力が低下している所で解決策を提示し、問題が長期化する前に金品を出させようとします。

■ 短期決戦で要求を飲ませようとする
 悪質クレーマーは短期決戦を目指しています。というのも、問題が長期化すれば理不尽な主張であることや、不当な要求をしていることがわかり、クレーム内容を精査すれば事実ではないことがバレることもあります。

 場合によっては警察に相談されることもあるため、短期間の間に担当者を混乱させ、問題がうやむやなうちに要求を飲ませて立ち去ろうと考えています。

 そのため、突然の悪質クレームに対して準備ができていない担当者は、まず相手の奇襲に耐え、相手のペースに巻き込まれないようにし、体制を立て直して相手のペースを乱すことができれば、撃退することも可能となります。

 悪質クレーマーが担当者を混乱させ、パニックにさせるための行動は、いくつかパターン化することができますので、その行動を事前に理解して心構えを持っておくと、突然の悪質クレームにも対応できるようになります。悪質クレーマーの行動を以下に示します。

@ とにかく大声を出す


 突然大声を出されて驚かない人はいません。もちろん、それが狙いです。通常クレームがエスカレートして、怒りのあまり大声を出すお客様もいますが、前ぶれもなく大声を出して来たら奇襲攻撃の可能性が大です。

 そして、大声とともに机をバンバン叩いて恫喝まがいのことをします。いかに自分が被害を受けたかを声高らかに叫びます。

 悪質クレーマーは自分の主張に根拠がないことを知っていますので、解決に時間がかかることを嫌っています。そのため、大声で捲し立ててすぐに賠償を引き出そうとしてきます。

 担当者は突然のことで精神的に動揺し、頭が真っ白になり、周りにいるお客様の手前もあり、なんとか少しでも早く解決したいという気持ちにさせられます。

A 急に優しくなって解決方法を提案する


 突然の大声と恫喝で店員をパニックにさせておきながら、突然優しくなって解決策を提案してくることがあります。もちろんこれも悪質クレーマーの手口です。

 店員は悪質クレーマーからの奇襲攻撃によって頭が真っ白になっており、周りのお客様への迷惑なども考慮すると、少しでも早くこの状況を終わらせたいと考えるようになります。

 そんな時に「今回はお前に免じて3万円で手を打ってやるよ」と優しく提案された場合、気持ちがホッとし、渡りに船とばかりに金銭を渡してしまうことがあります。

 あとから冷静に考えればお金を渡すこと自体がおかしなことなのですが、その時点では解決策がこれしかないと思ってしまうほどの精神状態となっています。

 安易に金品を渡してしまうと何度も標的にされてしまう恐れがありますので、安易に相手の要求を飲まず、対応方法については即答をさけるようにしましょう。

B 疲れさせる


 突然怒鳴り込んで来店した後は、担当者が要求を飲むまで長時間居座る可能性があります。まともにこちらの言い分を聞き入れず、会話がかみ合わない状態で、ただひたすらに恫喝と要求が続くわけですから、担当者は疲弊してしまいます。

 また、その場で解決しなくても、毎日来店して怒鳴り散らす、毎日怒りの電話をかけてくることで、担当者を精神的に追い詰めようとします。

 早く帰ってほしい、早くこのつらい時間を終わらせたいという気持ちにさせ、要求を飲んでしまおうという気持ちにさせます。

C 忙しい時間を狙う


 お客様で混み合っている時間に、長々と悪質クレームに付き合っている時間はありませんが、あえてそのような時間に来店して、騒ぎ立てる場合があります。

 他のお客様が見ている前でクレームを大きな声で言い、さもお店側が誠実な対応をしていないかのような態度を示します。

 お店側にしてみれば、他のお客様に対して悪い印象を与えかねませんので、なんとか穏便に済ませようとし、相手の要求を飲んでしまおうという気持ちになってしまいます。

D 担当者に思い込ませる

 あとから冷静に考えてみれば、どう考えてもおかしいということも、精神的に追い詰められることで、さもお客様の主張が正しいかのように思い込んでしまうことがあります。

 自分の対応が悪いのかもしれない、本当に迷惑をかけたのかもしれない、まわりに言われたら営業を続けられないかもしれない、会社に迷惑をかけるかもしれない、などと暗示にかかってしまうことで、相手の要求を飲まなければならないという気持ちにさせます。

E 担当者の言葉の揚げ足を取る


 悪質クレーマーは突然すごい剣幕で怒鳴り散らしてくる訳ですから、担当者はパニックになって状況把握よりも先に「すいません」「申し訳ありません」などと謝罪をする場合があります。

 もともと根拠のないでっち上げのクレームを訴えている訳ですが、担当者が謝罪したことをいいことに、「おたくがやったと認めたな」と揚げ足を取るような発言をし、「じゃあ、慰謝料を10万円払え」などと執拗に要求してきます。

 クレーム対応の基本である初期謝罪でもそうですが、この段階での謝罪は状況確認前の「お客様にご不快な思いをさせた」ことに対する謝罪であり、お店や会社の過失を認めた訳ではありません。

 お店や会社の中で謝罪の対象を明確にしておき、そのようなことを言われた時のためにしっかりと理論武装をしておきましょう。

ポイント
悪質クレーマーの手口をあらかじめ理解しておけば、その場面に遭遇しても冷静な対応が可能となりますので、日頃からの従業員教育が大切です。



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