クレーム対応を成功に導くには、基本の心構えと怒りを鎮めるテクニックを知っておくことが重要です。心構えができていなければ、担当者のふとした発言や態度でお客様をより怒らせてしまうこともあります。心構えとテクニックをしっかり身につけましょう。
クレーム対応は、初期対応にすべてがかかっていると言っても過言ではありません。お客様は会社や店舗、商品によって迷惑や被害を受けたと感じ、怒りを込めてクレームを訴えてきています。
クレームを受けた最初の段階で誠意の感じられない対応をしてしまうと、本来のクレームに加えて、応対に対するクレームが発生し、被害はどんどん拡大していきます。本来商品の交換だけで済んだクレームが、なかなか収束しない困難なクレームへと発展してしまうのです。
逆に誠意ある初期対応がされれば、お客様の怒りは小さいうちに収束し、スピーディな解決を図ることができます。しかし、適切な初期対応を行うためには日頃からの従業員教育が欠かせません。
クレームはある日突然にやってきます。すごい剣幕で怒鳴りこんでくる場合もあります。日頃から準備ができていなければ、怒鳴られたり、対応を迫られることでパニックになり、なかなか解決できない長期的なクレームに発展しかねません。
一方、日頃からクレーム対応について従業員教育が行われていれば、誰が最初に応対するのか、担当者がいない場合はどうするのか、交換や修理はどうするのかなど、マニュアル通りに迅速な対応をすることができ、速やかな解決を図ることができます。
突然すごい剣幕で怒鳴られたら面食らいますが、日頃からクレーム対応の教育を徹底し、まずは初期対応に当たる従業員が心をこめてお詫びできるよう心掛け、待たせない、たらい回しにしない体制を構築しておくことが大切です。
お客様がクレームを訴えてくる場合、クレーム内容が誰の担当であろうと、商品の性能上の問題であろうと、お客様は会社やお店に対してクレームを訴えている訳です。
しかし、初期対応でついやってしまいがちなミスが「私は担当者ではない」という態度です。お客様にしてみれば会社やお店の従業員は、どんな役割分担であろうと「会社の人」として捉えます。
その一方で、会社やお店の中にはそれぞれ担当があるため、当然のことながら従業員それぞれ役割が異なります。
この社内の感覚でお客様の対応をしてしまうと、「クレームを聞くのは営業の○○さんの仕事だ」「私はクレームを受け付ける担当ではない」という態度が出てしまい、「クレームをたらい回しにするいい加減な会社だ」と更なる怒りを買ってしまいます。
また、お客様に対してどんなに一生懸命に「自分が担当者ではない」という説明をしても無意味です。説明すればするほど、「無責任な会社」「従業員教育ができていない会社」であることを強調しているにすぎず、クレームは悪化の一途をたどります。
最終的にはより状況のわかっている担当者が対応するにしても、初期対応については従業員一人一人の問題として日頃から捉えておくべきであり、誰がクレームを受けても同じ対応が取れるようにしておく必要があります。
クレームを訴えてくるお客様の大前提として、お客様は「困っている」「怒っている」ということです。お店や会社に対して「こんな事例がありました」という事務連絡をしに来ている訳ではありません。
商品やサービスの不備によって、多大な迷惑をしたり、心情が傷ついていることだってあります。だから、お客様は「こんな大変な思いをした」ということを担当者に聞いてほしいのです。
そんな思いを察することなく、返金や交換などの事務対応に徹したり、相手を論破するような説明をしたとしたら、お客様の気持ちが満たされないばかりか、怒りを爆発させてしまうことになります。
逆に、どんなに怒っている人だったとしても、話を親身に聞いてもらい、心情に共感してもらえると、自然と怒りが収まってきます。「この担当者は自分のことをわかってくれる」と思うようになり、こちらの話にも耳を傾けてくれるようになります。
クレームの初期対応は、とにかくお客様の気持ちに共感し、ひたすらお客様の話を聴くことに徹するのが基本であり、これがスムーズな解決へと導いてくれます。
商品やサービスについてクレームが発生した場合、そのクレームは1件では終わらないかもしれません。特に商品に欠陥があった場合は、販売した数だけクレームが来ることになります。
その場合、クレーム対応はすべての人に公平でなければなりません。すごく恐そうな人には迅速な修理対応に加えてお詫びの品を渡す、優しそうな人には何も渡さず修理も後回し。
そんな不公平な対応は新たな二次クレームを生み出します。SNSや口コミサイトがこれだけ普及している以上、クレーム対応はすべて公になると考えておくべきです。そこで自分が受けた対応が人と違うことがわかれば、さらなる怒りを買うことになってしまいます。
公平な対応をするためには、クレーム対応について日頃から従業員に対して教育を行い、組織として一貫した対応が行えるよう情報共有を図っておく必要があります。
被害補償となるとケースバイケースの部分がありますが、その場合でも対応する従業員が個々に判断するのではなく、決定するルートを一本化しておくとバラつきの少ない対応をすることができます。
クレームのために店舗まで足を運んでいただいたお客様は、自分の時間を犠牲にして、わざわざ貴重な意見を伝えに来ていただいています。ですから、そのお客様を待たせたり、窓口をたらい回しにするなどもってのほかです。
一番大切なのは、クレームのあるお客様に対して迅速に対応している姿が見せられるかどうかです。怒りに満ちている人間は、待たされることを極端に嫌います。
待たせたつもりがなくても、たったの数分でも、すごく待たされたという怒りがこみ上げ、場合によっては来店時よりも怒りが大きくなってしまいます。
ただし、ここで言う迅速な対応とは速やかに解決するということではありません。商品交換や返金で済む内容であれば問題ありませんが、会社側や商品に原因があるのかどうか、調査してみないとわからないケースもあります。
クレームをすぐに片づけたいがために、安易に金品で納得してもらおうとすると、その場は治まっても、逆にクレームの範囲が拡大するなど、逆効果の場合もあります。
そのため、スピード解決を図るのではなく、お客様に対して担当者が迅速な対応を心掛けている姿勢を見せるようにします。返答までに時間がかかるようであれば、都度途中経過などを連絡し、クレームを放置していないこと、誠意ある対応を行っていることを伝えていきます。
クレームを解決するということは「お客様の不満や怒りを鎮め、納得してもらう」ということです。お客様はクレームに至る経緯で、さまざまな不便や迷惑、不快な思いをしている訳であり、お客様の話をしっかり聴いて気持ちに共感し、怒りを鎮めてもらわないといけません。
しかし、クレーム対応は誰にとっても嫌な仕事です。お客様に大声で怒鳴られたり、自分がやっていないことでも頭を下げなければなりません。
人間には嫌なことから逃げたいという欲求があり、責任感で踏みとどまる人もいれば、適当なことを言って逃げようとする人もいます。
「私は担当ではございませんので…」
「ただいま取り込んでおりまして…」
「そう言ったお話は対応致しかねます…」
お客様のクレームから逃げるということは、お客様が不満や怒りを鎮める機会をなくしてしまったということであり、それによって更なる怒りを買うことになります。
本来であれば話をしっかり聴くだけで解決できたクレームでも、担当者の不誠実な対応によって裁判にまで発展してしまうケースがありますので、「お客様の話を聞くことは最優先の仕事」であると認識し、日頃から従業員教育を徹底しておく必要があります。
クレーム解決の大前提は原状回復ですので、商品に不備があれば修理や交換をする、サービスに不備があれば返金や解約をする、となります。
しかし、お客様の気持ちの中には困った経験や怒り、やり場のない気持ち、傷ついた気持ちなどが残っており、商品が修理や交換されたからと言って満足している訳ではありません。
ですから、お客様の要望が100%満たされて大満足と言うことはほとんどなく、ある程度のラインで諦めてもらい、納得していただく必要があります。
そのためには、担当者とお客様との信頼関係が非常に重要となります。どんなに怒っていても、自分の心情に共感してくれる人に対して悪い感情を抱く人はいません。
「担当者が親身に対応してくれた」「自分の状況をわかってくれた」という気持ちが芽生えれば、100%の解決に至れなくても、「その担当者に免じて許そう」という気持ちになり、クレームは解決に向かいます。
また、そのような親身な対応を受けることでお店や担当者への信頼が深まり、今後もお客様であり続ける、もっとお店のことが好きになることにもつながります。
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