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理不尽で悪質なクレーマーを撃退!初心者でもすぐに使えるクレーム対応術

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クレーム対応で信頼関係を築くには?
常連客になってもらう方法

 クレーム対応はマイナスイメージが強いのですが、より多くのお客様を獲得するチャンスでもあります。お客様は困っていたり、不安な気持ちを抱えていますので、お客様の期待を超える対応をすることで、感動体験とともに強い信頼を抱くことになります。お客様から信頼を得る対応方法を理解しておきましょう。

<この記事の著者>
 クレーム対応アドバイザー 武中俊浩※
クレーム対応は担当者の精神的負担が大きい仕事ですが、解決しないクレームはありません。クレームをスムーズな解決に導く流れやテクニックについて、わかりやすく解説していきます。

目次


クレームを訴えたお客様は常連客になる可能性がある


 クレームを訴えているお客様は、商品やサービスの不備によって悲しい思い、つらい思い、怒りの気持ちを抱いており、それによってお店や会社に対して不信感を持ったり、失望したりしています。

 逆を言えば、そのお客様に対して適切な対応を取ることができれば、お店や会社に対する信頼は大きく上がり、熱烈なファンになってくれることだってあります。

 クレームを訴えているお客様は、対価に見合ったものが得られなくて困っている訳ですから、それが救われたという気持ちになり、クレームのなかったお客様よりも信頼関係を築きやすいと言えます。

 困っている気持ち、怒っている気持ちが大きいほど、適切な対応を受けることで気持ちの振り幅は大きくなり、大きな信頼へと傾きます。

 そのようなお客様は自分の体験談を周りにも話し、素晴らしいお店や会社として口コミで伝わっていく可能性もあります。

ポイント
クレームを訴えてくるお客様は困っていたり、つらい気持ちを抱えています。その気持ちを理解し、適切な対応をすることで常連客になっていただける可能があります。

無意識な要望を超える対応で信頼を築く

■ クレームを訴えるのも大変
 クレームは言う側も言われる側も嫌なものです。クレームを受ける側も大変ですが、お客様も結構なエネルギーを使ってクレームを訴えてきています。

 クレームとして訴えてきている事例はクレーム全体の氷山の一角であり、訴えてこないで不満を抱えたままお客ではなくなるケースの方が多いと言えます。ですから、クレームという貴重なご意見を訴えてきていただいたお客様の気持ちを大切にしなければなりません。

 お客様はクレームを訴える際、頭の中で無意識に要望や落としどころを決めてきています。「返金してほしい」「値引きしてほしい」「交換してほしい」「やり直してほしい」などの要望があり、一部の理不尽な要求を除き、それが叶えばクレーム対応は終了となります。

 しかし、お客様にとっては本来のあるべき姿、いわゆる原状回復したにすぎず、お店や会社とお客様の間で大きな信頼関係が生まれたとは言えません。お店や会社は当たり前の対応をしたにすぎないからです。

■ お客様の期待を超えると信頼につながる
 そこで重要なのが、お店や会社の対応がお客様の無意識な要望を超えられるかどうかです。これを下回った対応をすれば当然のことながらクレーム対応は長引きます。

 ここではあまり目先の損得にこだわらず、お客様の期待を超えることができれば、「この店では安心して買い物ができる」とお客様から大きな信頼を勝ち取ることができると言えます。

 ただし、過剰なサービスを行ってしまうとしつこい悪質クレームにつながってしまう恐れもありますので、やりすぎは禁物です。

小さな気遣いで感動体験をしてもらう

■ マイナスイメージを取り除く感動体験
 クレーム対応を適切に行ったとしても、不満や怒りを抱いてクレームを訴えたお客様の心情としては、多かれ少なかれ、お店や会社に対してマイナスのイメージを抱いています。

 このマイナスイメージを取り除くためには、お客様に小さな感動体験をしてもらうことが効果的です。「終わりよければすべてよし」という言葉がありますが、まさにその通りです。

 人間はどうしても最後の印象を引きずってしまう特性があります。怒られることと褒められることが同時にあった場合、怒られるのが後か、褒められるのが後かで受け止める人の印象が大きく異なります。

 どんなに怒られたとしても、最後に褒められると褒められた印象が残ると言われています。クレーム対応も同じで、お店や会社に対してマイナスイメージを抱いたとしても、最後に感動体験があると「よいイメージ」として残りやすくなります。

■ お金や費用をかける必要はない
 このクレーム対応後に行う小さな感動体験は、費用や時間、労働力を投じてまで行う必要はありません。

 「ささやかな自社製品をプレゼントする」「来店にかかった交通費をお支払いする」「次回使える割引券を渡す」など、ちょっとした気遣いをすることで、そのお客様はこれからもお客様であり続けてくれると言えます。

 「自分のために気遣いしてくれた」とお客様に伝わることで、クレームの不快感よりも、うれしい体験として記憶に残り、人にも伝えたくなるのです。

最後にお礼の言葉を伝えると効果的

■ お礼の言葉が気持ちを救う
 クレームを訴えた場合、お客様の心の中には「迷惑な客だと思われているのではないか」「担当者は嫌々対応しているのではないか」という気持ちがあり、仮に円満に解決したとしても、お店に来づらくなってしまうことだってあります。

 そんなお客様の気持ちを救うのが「お礼の言葉」です。クレームはお店側で気づかなかったこと、不備があった点について気づかせてもらえる貴重な意見でもあるため、その貴重なご意見を言ってもらったことに対して、最後にお礼の言葉を伝えます。

「お客様からご指摘たただいた点については、今後当店の課題として
取り組んでまいります。貴重なご意見、本当にありがとうございました」

■ 感謝されるとまた来ようと思える
 感謝の言葉を言われて悪い気持ちになる人はいません。自分のクレームには意味があった、役に立ったと受け止められると、またこのお店に来たい、このサービスを利用したいと思うようになり、リピーターの確保につながっていきます。

 また、お礼の言葉に続いて「また何かございましたら、ご連絡下さい」と付け加えることで、直前に言ったお礼の言葉の効果が増幅され、担当者としてクレーム対応から逃げない姿勢も伝えることができるため、お客様からより信頼を得ることができます。

お客様の気持ちを代弁して謝罪する

 お客様が怒ってクレームを訴えてくるということは、その怒りに行き着くまでの経緯というものがあります。また、大きな声で怒ることで「自分のやりきれない気持ち、困っている状況を担当者に伝えたい」という気持ちがあります。

 つまり、自分の気持ちや状況がすぐに伝わるのであれば、お客様は感情的になって大声を出し続ける必要はない訳です。

  • 「この度は当社製品の不良により、お子様を喜ばせたいとご購入いただいたお客様のお気持ちを台無しにしてしまい、本当に申し訳ございません」
  • 「この度は当店の手配ミスによって、楽しみにされていたご旅行中の素敵な時間を台無しにしてしまい、誠に申し訳ありません」

 クレーム対応で一番揉めるのは、お客様の気持ちが担当者に伝わらないことであり「わからない奴だな」「話のわかる奴を出せ」「この店は信用できない」と気持ちがエスカレートしていきます。

 逆に、お客様が皆まで言わなくても、どうしてこんなに怒っているのか、お客様の気持ちになって考え、それを担当者がお客様に代わって代弁することができると、「この担当者は話がわかる」「信頼に値する」と思われ、その後の話がスムーズに運びやすくなります。

ポイント
気持ちがわかっている、伝わっているとお客様に感じてもらうことが解決の近道です。言葉で気持ちを代弁すると非常に効果的です。



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