クレーム対応の担当者は誰しもお客様を怒らせたいとは思っていません。しかし、担当者も人間ですからお客様の態度に苛立ってしまい、失礼な言葉遣いをすることで更なる怒りを買ってしまうことがあります。クレーム対応で言ってはいけない言葉を理解しておきましょう。
クレーム対応の現場では、お客様にどんなに説明をしても、なかなかわかってもらえないことがあります。クレームを訴えてきている場合、お客様が完全に思い違いをしていたり、怒りで頭に血が上っていて担当者の話が耳に入らないことも多々あります。
担当者も人間ですから、何度説明をしてもわかってもらえない場合に苛立ってしまい、ついつい「ですから〜」「でも〜」「だって〜」という言葉で切り替えしてしまうことがあります。
しかし、この言葉を使ってしまうとお客様の更なる怒りを買ってしまうことになり、本来のクレームよりも接客対応に対する二次クレームに発展し、解決に時間を要してしまうことがあるため、クレーム対応では禁句です。
「ですから〜」という言葉は、言われた側にしてみると上から目線で物を言われている気持ちになります。その言葉の陰に「わからない客だな」「何度も同じことを言わせるな」という担当者の感情が垣間見え、お客様が「馬鹿にされている」と感じてしまうからです。
また、「でも〜」「だって〜」という言葉は、言われた側にしてみると言い訳を言われている気持ちになります。お客様にとっては、こちらの訴えを真摯に受け止めず、言い訳をしてごまかそうとしていると感じてしまいます。
このような言葉をうっかり使ってしまったがために、比較的容易に解決するクレーム対応も余計に長引いてしまうことになるため、担当者はお客様の言葉に対する適切な切り返しを学んでおく必要があります。
クレームの多くは商品やサービスに不備があり、お客様は正当な主張をしていることがほとんどですが、お客様の思い込みや勘違い、理解不足によって、お客様の操作方法の間違いなどが原因になることもあります。
そのような場合、お客様は「商品やサービスに問題がある」と完全に決めつけ、怒りの拳を振り上げてクレームを訴えている訳ですから、その後に「自分が原因だった」ということがわかったとしても、振り上げた拳は簡単には下せません。
そんな状況で、形勢逆転とばかりに「ですから〜」などという言葉を使って相手を下に見る態度をとってしまうと、お客様のプライドを傷つけてしまうことになりかねません。
そうなってしまうと、お客様は瞬時にお店や担当者の対応、商品、サービスの粗探しを始めます。クレーム内容をすり替えてしまえば、自分の間違いがうやむやになり、恥をかくことがなくなるからです。
ここで大切なのは、商品やサービスに不備がなく、お客様に原因があるとわかったとしても、お客様の上に出るようなことは一切せず、それでも一歩引いた姿勢を取ることが、クレームを解決に導く上で非常に重要です。
クレームの原因がお客様の操作ミスや理解不足にあったとしても、説明する際には一歩引いた姿勢で対応する必要があります。その際に切り返す言葉は「だから」「ですから」ではなく、まずは「すいません」「失礼しました」「申し訳ありません」となります。
こちらに過失があった訳ではありませんが、説明書がわかりにくかった、商品の構造がわかりにくかったなど、お客様が理解しにくい状況をつくり出してしまったことに対して謝罪します。
その上で説明を始めると、お客様のプライドを傷つけることなく、恥をかかせることなく、円満でスムーズな解決に導くことができるようになります。以下に具体的な事例を紹介します。
お客様「この商品、ボタンを押しても全然動かない不良品なんだけど」
担当者「お客様、解除ボタンは押しましたか?」
お客様「そんなボタンがあるなんて、わかりにくいな」
担当者「わかりにくくて申し訳ありません。私の方から使用方法をご説明してもよろしいでしょうか?」
このように一言お詫びの言葉を入れるだけで、お客様は担当者の説明をスムーズに受け入れ、クレームを解決に導きやすくなります。上記の事例の場合、どうして解除ボタンをつけているかの理由も説明すると、よりご納得いただけるようになります。
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