クレーム対応での重要な要素に、担当者の印象があります。クレーム対応を成功に導くためには、お客様との信頼関係の構築が不可欠ですので、担当者の身なりや言葉遣いなど、印象は非常に重要な要素となることを理解しておきましょう。
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが1971年に発表した「メラビアンの法則」によると、人の第一印象を決める要素には言語情報(話す内容)、聴覚情報(どんな声か)、視覚情報(人の見た目)があり、印象に影響を与える割合は以下の通りとされています。
つまり、どんな内容を話しているかよりも、見た目と声だけでほぼ印象が決定されてしまうということです。
この印象はクレーム解決にとても重要です。だらしない身なりをした人、言葉遣いがいい加減な人に接客されれば、誰しも「この人は信用できない」「正しい対応ができない」と判断します。
不機嫌な顔をした人に「申し訳ありません」と言われても、謝罪されている気がしないどころか、さらに怒りを感じてしまいます。へらへら笑っている人に「申し訳ありません」と言われても、本当にそう思っているのかと疑いたくなります。
同じ言葉でも、見た目や声の印象だけで相手への伝わり方はまったく異なります。むしろ、逆の意味として伝わることだってあります。
そのため、クレーム対応を担当する場合は、身なりや言葉遣い、しぐさ、声のトーンに最大限の注意を払う必要があります。
同じくメラビアンの法則によると、人の第一印象が決まるまでの時間は3〜5秒とされています。つまり、お客様が来店して担当者が会った瞬間に印象は決定されているということです。
まして、怒りの気持ちに満ちているお客様の場合、些細なことで怒りが爆発しかねません。もし、会った瞬間にお客様に悪い印象を与えてしまうと、「だからこんな商品しか作れないんだ」「従業員教育ができていないからだ」などと、より態度を硬化させてしまいます。
また、最初の印象で「ダメなやつ」「嫌なやつ」「話がわからなそうなやつ」などと思われた場合、その後に担当者が何を言っても不信感を抱いたり、聞く耳を持たなかったり、最初から「上司を出せ」と言い出してしまうかもしれません。
逆に、清潔感のあふれる身なりと、好感の持てるハキハキとしたしゃべり方をした場合、お客様の中では「この人ならちゃんと対応できそう」と評価され、その後の話がスムーズに運びやすくなります。
クレームを解決に導くためには、お客様と担当者の信頼関係があってこそですので、身なりや声のトーンには最大限の注意を払うようにしましょう。
以下に簡単なチェック項目を示します。担当者が初対面でいかに「真面目・誠実に見えるか」がポイントとなります。
クレーム対応をする場合、怒っているお客様の気持ちを静めようとするあまり、下手に出過ぎたり、優しくし過ぎたりしてしまうことがあります。もちろん、クレームに至ったお客様の心情に共感したり、親身に対応することはとても大切です。
しかし、優しいという印象は「弱々しい印象」を与える場合もあり、「こちらの要求をなんでも受け入れそう」と思われてしまう可能性があります。
そうなってしまった場合、お客様からの要求がエスカレートしたり、怒ったり大きな声を出せば折れるだろうと思われることで、クレームの解決に時間がかかってしまうこともあります。
お客様に与えるべき印象は「優しそう」ではなく、「信頼できそう」「しっかり真面目に対応しそう」という印象です。もちろん、その中に親切な印象を与えることも大切で、ここをきちんと押さえることができればクレーム対応は一歩前に進んだと言えます。
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