クレーム対応でお客様に言ってはいけないNGワードがあります。担当者は仕事への責任感から言った無意識な言葉ですが、お客様に過剰な期待を持たせてしまったり、無責任なことを言いやがってと怒らせてしまったり。使うのを避けるべきNGワードを理解しておきましょう。
悪質クレーマーの常套句に「誠意を見せろ」という言葉があります。具体的な金銭を要求すると恐喝になってしまいますので、「誠意」という言葉を使って暗にお金を要求しています。
その一方で、担当者が自ら「誠意」という言葉を使ってしまうこともあります。お客様を納得させて速やかな解決を図ろうとしたり、担当者の熱意が入るあまり、「私が誠意を持って対応致します」と言ってしまいがちです。
担当者は本当の意味で誠意を持って対応しようとしている訳ですが、受け止めるお客様の立場にすると、商品やサービスの補償以外に、迷惑した部分について金銭が支払われるような想像をしますので、安易に「誠意」という言葉を使うのは危険です。
誠意という言葉を使ってしまったことによって、本来であれば商品の交換や返金で済んでいたお客様に余計な期待を持たせてしまい、「誠意を持って対応すると言っていたじゃないか」「お前の言う誠意とは何なんだ?」などと、執拗に金銭などを要求されてしまうことにもなりかねません。
お客様に対して気持ちのこもった対応をしたいと考える場合は、このような誤解を招く「誠意」は使わず、「誠心誠意」または「誠実に」という言葉を使い、気持ちを伝えるようにします。この言い方であれば、お客様に誤解を与えることはありません。
「誠意を持って…」と同様に、担当者がついつい使いがちなのが「私が責任を持って対応致します」というフレーズです。これもまた、お客様の怒りを鎮め、速やかな問題解決を図りたいという担当者の気持ちの現れですが、場合によってはお客様を余計に苛立たせることもあります。
担当者の言動は「会社やお店の考え」として捉えられますが、現場の担当者では決められないことはたくさんあり、お客様もそのことをわかっています。
返金や交換などの通常対応レベルであれば問題ないかもしれませんが、被害を受けたことに対する金銭補償や再施工など、お金が絡んでくる場合は担当者レベルでは決められなく、上司などの決裁が必要となります。
つまり、「私が責任を持って…」と言っている担当者にどのような地位や権限があるのかがポイントで、決裁権のない人間が軽々しく「私が責任を持って…」と言ってしまうと、「あなたにどんな権限が?」「あなたがどう責任を取れるの?」と苛立たれてしまい、逆に不信感を持たれてしまいます。
もちろん、初期対応をした担当者からバトンタッチした店長やエリアマネージャーなど、決裁権を持つ人が使う分には問題ありませんが、可能な限り使わないようにし、「会社として対応を協議致します」と伝える方がよいと言えます。
会社としてのクレーム対応は、すべてのお客様に対して平等であるべきです。相手を見て対応をコロコロ変えていることが知れてしまうと、解決済みのお客様からクレームが来るばかりか、会社としての信用をなくすことにもなります。
ですが、お客様に対して「平等な対応をしている」ことを強調するのは禁物です。クレームを訴えてくるお客様は皆自分のことを被害者だと思っていますので、「平等な対応」と言われれば、決まったルールに乗っ取った事務的な対応をされると感じます。
クレームの内容は千差万別で、受けた被害も感じ方もさまざまです。そして何より、お客様は「自分が一番困っている」と思っていますので、個々の状況を考慮せず、「平等な対応」をされるというのは許せるものではありません。
「私が訴えていることを何も聞いていない」「状況をわかっていない」と感じ、担当者に対する不信感が芽生え、距離感を縮めるどころか、ますますクレーム解決から遠のいてしまいます。
どんなお客様に対しても、気持ちに寄り添う「親身な対応」をすることが解決への近道ですので、「平等な対応」は社内の方針として留め、お客様に対しては言わない方が得策です。
ただし、過剰な要求をしてくる悪質クレーマーに対しては、会社の方針として「すべてのお客様に対して平等な対応をいたしております」と伝えると、引き下がらせることに効果を発揮することがありますので、状況に合わせて使い分けてみましょう。
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