クレームにはマイナスのイメージがありますが、企業活動をする上では商売のチャンスやヒントがたくさん含まれており、お金を出してでも集めたい情報源となります。また、適切なクレーム対応はお客様との信頼関係を深め、顧客の増加にもつながります。
■ 企業が集めたいヒントが盛り沢山
クレーム対応をする際に、理不尽な要求を突きつけられたり、担当者個人への批判など、個人攻撃を受けることもあります。そのため、クレーム対応は精神的に大きな負担となり、クレーム対応が好きだという人はまずいません。
しかし、企業活動という視点で見てみると、クレームには商売のチャンスやヒントがたくさん含まれています。クレームを受けなくても、企業がお金をかけてお客様アンケートなどを行い、お客様の意見を集めるのはそのためです。
どうしても商品をつくる側やサービスを提供する側は、自分たちの価値観で物事を考えがちです。「こういう使い方をするものだ」「こういうサービスが喜ばれる」という固定概念があり、なかなか新しいものを生み出すことができません。
■ 価値観に囚われないニーズがわかる
一方で、サービスを受ける側のお客様は無数におり、さまざまな価値観を有しています。当然、企業が考えもつかなかった使い方で商品が使われることがあり、それによってクレームも発生します。
そのようなクレームを受けた場合、「そんな使い方は想定していない」と跳ね除けるのではなく、そういう使い方やニーズがあるという発見にもなります。
また、使う人もさまざまで、男性・女性の違いのほか、背の高い人、手の小さい人、力の弱い人など、いろんな人に使われることで、使いにくさがわかってきます。
そのような意見をクレームという形で集め、それを商品の改善や開発に活かすことができれば、よりよい商品開発やサービスの提供に結びつけることができるのです。
クレーム対応が得意だという人はいますが、好きだという人はいません。お客様からの怒りや不満を受け止めるわけですから、精神的な負担も非常に大きな担当であると言えます。
しかし、クレーム対応から逃げることなく取り組むことは、担当者自身の飛躍的な能力向上に非常に役立ちます。
お客様のお話をしっかり聴く、事実関係を調査する、適切な意見を述べる、きちんと謝罪するなど、接客能力だけでなく、調査する能力、調整する能力、危機管理能力を伸ばすことができます。
これらの能力は接客やクレーム対応の能力を伸ばすばかりでなく、人間としての成長や、会社運営能力の向上にもつながるため、経営者を目指す上でも必要となってきますので、クレームから逃げることなく、しっかりと向き合うようにしましょう。
■ クレーム解決で信頼度アップ
金品を要求するのが目的である悪質クレーマーを除き、クレームを言うお客様は不都合な場面に遭遇して困っている人と言えます。お店や会社にクレームを訴えるというのはそれなりに勇気が必要でもあります。
困っている弱い立場としてクレームを伝え、適切な対応がされなかったらどんな気持ちになるでしょうか。困っている不安な気持ちから、今度は怒りに満ちた気持ちに変わっていきます。
逆に、お店や会社が親身に話を聞いてくれて、快く交換や修理に応じてくれたらどんな気持ちになるでしょうか?困っている不安な気持ちが救われ、感謝の気持ちが芽生えます。
その感謝の気持ちは、お店や会社に対する信頼へと変わり、「このお店なら安心して利用できる」と確信することができます。不安な気持ちが解消されたことで、その人にとっては1つの成功体験にもなります。
■ 嬉しい体験は口コミとして広がる
人間は嫌な体験や成功体験は誰かに伝えたくなりますので、そこから口コミが生まれます。ネット上にたくさんの批判の書き込みがある一方で、絶賛する書き込みもたくさんあります。
当然、適切なクレーム対応によって成功体験を得たお客様は、そのお店や会社のファンになるだけでなく、熱心に他の人に対して自分の体験を伝えてくれるため、確実に顧客は増えていきます。
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