商品やサービスを提供する以上、クレーム対応は避けることができません。クレームには商品やサービスの改善につながるヒントが隠れている一方で、誤った対応は多くのお客様を失うことにもなります。クレーム対応するための心構えを正しく理解しておきましょう。
企業活動をする上で商品やサービスを提供する以上、クレーム対応は避けて通ることができません。顧客満足度の向上が重要視される現代においては、クレーム対応は以前にも増して重要になってきています。
そして、クレームの種類や件数も以前に比べると非常に多くなっています。個人の権利意識の向上のほか、インターネットでさまざまな情報が手に入ることも一因となっています。
クレームを訴えたくなる状況は誰しもが経験したことがあります。商品を買ったのに、開けてみたら中身が足りなかった、正常に動かなかったなどの商品の不具合のほか、飲食店でいつまでも料理が出てこない、不公平な対応をされた、など。
これらはいずれも正当な訴えです。商品の不具合については製造元や販売元がきちんと正しい商品に交換する義務があるほか、飲食店のサービスも対価を払っている以上、正当なサービスを受ける権利があります。
この点については、消費者も提供する側も理解しており、正当なクレームについてはお客様が正当な権利の主張をしているにすぎないので、トラブルが発生することはなく、スムーズなクレーム対応が行われます。
「クレームを訴えるお客様=クレーマー」と決めつけてしまうと、結果として大切なお客様を失ってしまうことになりますので、クレームの多くはお客様の正当な訴えであると心構えしておくことが大切です。
■ 二次クレームは解決に時間がかかる
クレームのほとんどはお客様の正当な主張であるため、商品やサービスに不備があった場合、企業やお店は交換や修理、返金、解約などで対応します。これは至極当たり前の対応です。
しかし、クレームを訴えてきたお客様への対応に不備があり、お客様の更なる怒りを買ってしまうことがあります。このようなクレームから発展した別のクレームを「二次クレーム」と呼びます。
最初は小さなクレームであったにも関わらず、お客様の怒りを買ってしまえば対応が難しくなり、早期の収拾が困難になります。このような事態を避けるには、クレームに至った背景を考慮し、現在困っているお客様の気持ちに共感する必要があります。
■ クレームに至った気持ちを理解する
お店や企業にしてみれば、「ただ商品が壊れているだけ」「サービスが至らなかっただけ」かもしれませんが、商品の故障によってお客様に大変な不便を強いたかもしれない、記念日を台無しにしてしまったかもしれないということです。
お客様はそのような背景のもと、商品やサービスに対してクレームを訴えているのですから、担当者が事務的な交換や返金手続きだけしようとすると、お客様の苛立ちを助長し、クレームがエスカレートしてしまうことになります。
クレーム対応を円滑に進めるためには、お客様のお話を聴く際に、お客様の気持ちに共感し、寄り添おうとする姿勢を見せることがとても重要です。
面倒なクレームを訴えてくるお客様がいる場合、「どうせこの人しか言っていないから」とか、「この人はクレーマーなんだな」と決めつけ、ちゃんと対応しないケースがありますが、そのようなことをしていると多くのお客様を失いかねません。
人間一人一人には、友達がいたり、知り合いがいたり、家族がいたり、職場の同僚がいたりします。
人間は嫌なことも嬉しいことも周りの人に話したいという欲求にかられますので、初めはたった一人が感じた不満な出来事も、結果として数百人に口コミで伝わるようになります。
特に現在はSNSの発達によって、自分の周囲の人に対して伝えるだけではなく、世界中の人々に情報を発信することができますから、個人の発言による影響は小さくないと言えます。
逆を言えば、すばらしいクレーム対応をすることによってお客様が感銘を受け、その体験が世界中に伝えられることだってあります。これがSNSをはじめとするネット社会のよいところであり、悪いところでもあります。
■ 過剰要求をしてきたら悪質クレーマー
正当なクレームが大半を占める中で、一部には悪質なクレームがあります。例えば、商品の修理や交換では納得せず、割引や迷惑料などを要求したり、クレーム対応時の接客態度に言いがかりをつけ、二次クレームとして発展させるケースです。
クレーム対応の原則は原状回復が基本であり、壊れていたら修理や交換する、汚してしまったらクリーニングで元のきれいな状態に戻すのが原則となります。
しかし、必要以上の謝罪を求めたり、迷惑料として金品を要求するのは不当な要求となり、悪質なクレームとして扱う必要があります。以前の悪質クレームと言えば暴力団などによる金品を目的としたものでしたが、最近では一般市民でも理不尽な要求を突き付けるケースが見られます。
■ 悪質クレーマーには危機管理対応
顧客満足度が意識される現代においては、どんな要求でもクレームとして一括りにしがちで、悪質クレームに対しても丁寧な応対が行われていますが、担当者個人への攻撃や金品の要求など、不当な要求は悪質クレームとして分類し、適切な対応が求められます。
そのため、クレーム内容をしっかりと見極め、悪質クレームであると判断された場合には、リスクマネジメント事例として対応を進める必要があります。
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