クレーム対応をする上で、お客様の心理状態を理解することは非常に重要です。正しく理解できていない場合、お客様の感情を逆なでしてしまい、小さなクレームを解決しにくいクレームに変えてしまいます。クレームを訴えているお客様がどのような心理状態なのかを理解しておきましょう。
クレーム対応を失敗する事例の多くは、お客様の心理状態を正しく理解できていないことが原因です。本来であればスムーズに解決できるような小さなクレームでも、お客様の感情を逆なでしてしまい、解決しにくいクレームへと発展させてしまいます。
クレームは火災と似ているところがあります。最初は小さな出火であり、初期消火が適切に行われれば問題ありませんが、誤った対応によって火が大きくなり、消火に時間を要するばかりか、お店や会社に実害が出ることだってあります。
では、クレームを訴えているお客様の心理状態はどのようになっているのでしょうか?大きく分けると、3つの心理状態が挙げられます。
お客様がこのような心理状態であると理解して接すれば、火に油をそそぐような発言を回避することができると言えます。以下では具体的な心理状態を説明していきます。
クレームを訴えてくるお客様は、基本的に「自分は正しい、自分は間違っていない、商品やサービスに過失がある」と思い込んでいます。そもそも、自分が悪いかもと考える人がクレームを訴えてくることはなく、お問い合わせという形で連絡が来ます。
家電が思うように動かない場合、自分の知識不足を疑うことなく、「壊れている、欠陥商品だ」と思い込みます。
運ばれてきた料理に髪の毛が入っている場合、自分の髪の毛だとは疑いもせず、「髪の毛が入っていた」と訴えます。
熱いスープでやけどをした場合、注意して飲まなかった自分の過失ではなく、「熱いスープを注意せずに出した店が悪い」と訴えます。
このように、自分には過失がない、絶対に正しいという心情のもとでクレームを訴えている訳ですから、「それはお客様が間違っています」「お客様の注意不足です」などと言おうものなら、猛烈なクレームに発展してしまいます。
クレームの多くは、商品やサービスに問題があるケースがほとんどです。そのため、お客様の心の中は「不良品を買わされた」、「サービスで不快な思いをした」、「商品が原因で不便をした」など、被害の意識でいっぱいです。
そのため、お店や会社に対しては怒りや不信感に満ちた気持ちでクレームを訴えてきている訳ですから、不用意な発言によって気持ちが爆発してしまうこともあります。
「自分は被害者であり、お店や会社は謝罪をすべき」と考えていますので、クレームの初期対応でお客様の気持ちを受け止めることなく、反論からしようとすれば、間違いなくこじれてしまいます。
ここで重要なのは、初期対応時のお詫びです。原因がわからない状態での謝罪を避けるべきと考えている担当者もいますが、ここでお詫びする対象は商品やサービスの内容ではなく、お客様にご不快な思いをさせてしまったことに対してです。
お詫びする範囲を限定すれば責任を認めたことにはならず、かつ、被害者であるというお客様の気持ちを一旦受け止めることができます。お客様が感情的なままでは話を進めることができません。
お客様は商品やサービスに対価を支払っているため、「自分には相応の接客を受ける権利がある」と考えています。まして、自分はクレームを訴えている「被害者」であると考えている訳ですから、いつも以上に、他のお客以上に、優遇された接客を受ける権利があると考えています。
その心情を理解せずにクレーム対応が事務的になってしまうと、お客様はより感情的になってしまい、接客態度などの二次クレームに発展しかねません。
ですから、初期対応時にはお客様に「優遇されている」と感じていただけるような接客を心掛ける必要があります。
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