本文へスキップ

理不尽で悪質なクレーマーを撃退!初心者でもすぐに使えるクレーム対応術

> > 解決策を受け入れてもらう方法

納得しないお客様が解決策を受け入れる
4つのテクニックとは

 クレームの解決とはお客様に納得していただくことです。そのためには、こちらが提案する解決策を受け入れていただく必要があります。解決策がお客様の要望通りではない場合も、納得していただかなければならないため、解決策を受け入れてもらうテクニックを身につけておきましょう。

<この記事の著者>
 クレーム対応アドバイザー 武中俊浩※
クレーム対応は担当者の精神的負担が大きい仕事ですが、解決しないクレームはありません。クレームをスムーズな解決に導く流れやテクニックについて、わかりやすく解説していきます。

目次


要望を伝えてこないお客様への提案は難しい


 クレームをスムーズに解決させる方法はとても簡単です。それは、お客様が具体的な要望を言っている場合にそれを叶えてあげることです。例えば購入した商品に不具合があった場合、お客様が交換か返金を希望し、お店側もそれに応じる場合です。

 この場合は商品に不具合があるために責任の所在がはっきりしており、交換や返金をすることがお店もお客様も納得できる解決策となります。

 しかし、責任の所在がはっきりしない事例や、お客様の精神的苦痛を伴う事例であると、そんな簡単には解決に至りません。

 もちろん、お客様の要求をすべて飲むわけにもいかず、クレーム解決は「原状回復」の考えに基づいてお客様に納得していただかなければなりません。

 また、お客様が具体的な要望を伝えてきている場合は、相手の意図や落としどころが推測しやすく解決策を提案しやすいのですが、具体的に要望を訴えてこない場合は解決策の提案が難しくなります。

 特にお客様が感情的になっている場合にはお店側が提示する解決策に反発心を抱くこともあるため、お客様の話をしっかり聴く中でお客様の真意を探る必要があります。

解決策を提案してお客様に決めてもらう

 他人が決めたこと、押し付けられたことがうまくいかなかった場合、自分を責める人はまずいません。もちろん、怒りの矛先はそれを決めた人になります。

 クレーム対応も同様で、納得できない解決策を渋々受け入れた後に不具合が生じると、お店や会社に対して二次クレームが訴えられてしまいます。

 このようなトラブルを回避し、スムーズなクレーム解決をするためには、お客様に複数の解決策を提案し、お客様自身にその中から決めてもらうという方法があります。

 人間は「自分が決めたことは正しい」と考える傾向にありますので、お店や会社が受容できる解決策をお客様に提案し、お客様に決めていただくことで、「自分の判断は正しい=お店の対応は正しい」という考えに至り、のちのちのトラブルを回避することができます。

 また、お客様が解決策を選ぶということは「お客様がその解決策を受け入れた」ということであり、クレーム対応に納得したということを意味します。

 その際、提案する解決策が1つだけだとお客様が決めたことにはならず、お店や会社の提案を受け入れたことになってしまうため、解決策の提案は2つ、多くても3つにする必要があります。

 仮に提案する解決策が多すぎてしまうと、お客様が迷ってしまう、考え過ぎてしまうことで決められず、逆に解決が遠のいてしまいます。

解決策のメリット・デメリットを説明する

 人は無意識に損をするよりも得をするものを選ぼうとします。そのため、クレームの解決策として複数の提案をされた場合には、その提案が損なのか得なのか、非常に迷います。

 ここで重要なのが、解決策を受け入れるメリットとデメリットの両方をしっかり説明することです。

 ただ漠然と解決策の提案をされただけでは損得で非常に迷ってしまいますが、受け入れた際のメリット、受け入れなかった際のデメリットを知ることで、気持ちが受け入れる側に大きく振れて解決へと向かいやすくなります。

  • 交換対応であれば、ちょうど在庫がありますので対応することができます。
  • 同じ機種はありませんが、最新機種への交換対応をすることが可能です。
  • 修理対応であれば、今日中に対応することが可能です。
  • 代替品であれば、今日中にお届けすることができます。

  • 同じ機種となりますと、入荷までに一カ月ほどお時間をいただきます。
  • この商品は販売終了していますので、交換の場合は在庫がある限りとなります。

 ここで注意したいのが、解決を急ぐばかりにメリットをやたら誇張したり、デメリットを前面に押し出して提案してしまうことです。メリットばかり押し出してしまった場合、のちのち不都合が生じた時には「担当者にだまされた」と思ってしまいます。

 また、デメリットを前面に押し出してしまうと、お客様は不安な気持ちを煽られてしまい、「担当者に脅されている」と感じてしまいます。

 あくまでも、お客様の判断で解決策を選んでいただき、納得してもらうことがクレームの解決になりますので、お客様の精神状態が落ち着いている状況で提案するよう心掛けましょう。

相手の態度で解決策をすぐに変えない

 すべてのお客様がお店や会社からの提案を受け入れ、解決に向かっていくわけではありません。どうしても納得することができず、頑なに解決策の受け入れを拒む場合もあります。

 その場合、一番やってはいけないのが「解決策をすぐに変える」ことです。クレームを受けた場合、ご迷惑をかけたお客様に対してはお店や会社として最善だと思われる提案をしているはずです。

 にも関わらず、お客様の態度1つでコロッと変わるようでは「お客様への最善の解決策を考えていなかった」と言っているようなもので、相手に合わせて対応をコロコロ変える横柄なお店と思われてしまいます。

 また、「文句を言えばどんどん有利な条件を引き出せる」とお客様に思わせてしまい、「もっと文句を言おう」「もっと要求を高くしよう」という気持ちへの変化から、クレーム解決により時間を要してしまうことになります。

状況が変化するとお客様の気持ちも変化する

 クレーム対応で行き詰ってしまった場合、人や場所、時間を変えると膠着した状況に変化を与えることができます。

 人間は些細なきっかけでも気持ちに変化が現れます。怒りで感情的になっている状態ではどんなに正論を言っても通じることはなく、お客様も自分を正当化するためにあらゆる手段を使ってきます。

 クレーム解決の目標地点はお客様に諦めてもらう、「まぁ、いいか」と思ってもらうことですので、まずはこちらの話を聞いてもらうために、感情的になっている気持ちを静めてもらう必要があります。

 それに効果的なのが、話し合いをする「人・場所・時間」に変化をつけることです。

 お客様にとって担当者は怒りの矛先になっているかもしれませんが、お店の責任者である店長や支店長、会社であれば管理職である課長や部長が出てくると、お客様の感情も一旦落ち着きやすくなります。

 また、お店の売り場でお客様が怒りをぶちまけた後、静かな応接室に移動する、後日お客様の自宅に訪問して対応するなど、場所や時間を変えることでもお客様は冷静さを取り戻しやすくなります。




関連記事
クレームを解決するために
テクニックをしっかり身につけよう
クレーム対応で言ってはいけない言葉
「だって」「ですから」は禁句
クレームを解決に導く話し方
原因がわからない状況でのお詫びはNG?
正しい対応方法とは
お客様との距離を縮めるお礼とお詫びの伝え方
使うとこじれてしまう言葉
「誠意・責任・平等」はNG
諦めてもらうことが着地点
丁寧な断り方をたくさん用意する
クレーム対応の基本的な流れ
悪質クレーマーとは?
手口を知っておけば恐くない
長期化必至!?
クレーム対応で失敗する5つの原因