クレームの解決とはお客様の要望が100%叶うことではなく、お客様が納得すること、諦めることです。そのため、お客様の要求を丁寧に断り続け、お店や会社としてできる解決策を受け入れていただく必要があります。お客様に諦めていただく丁寧な断り方について理解しておきましょう。
クレーム対応において、お客様が求める要求を100%叶えることは難しいことであり、どこかで諦めていただく必要があります。クレーム対応の大原則は原状回復であり、不良品は返金や交換、修理といった対応を行い、お客様に損害を与えていれば金銭補償などを行います。
しかし、お客様から実害以上の要求があった場合や、理不尽な要求があった場合には、丁重にお断りし、諦めていただくことが双方の着地点となります。
クレームを訴えているお客様は感情的になっており、簡単に納得したり、引き下がったりはしませんので、時間をかけて諦めていただく必要があります。そのためには、丁寧な対応を心掛けるものの、譲歩の姿勢や可能性を見せず、断り続ける必要があります。
ただし、「できません」「やりません」「無理です」といった明確な拒否の言葉を使ってしまうと、お客様のさらなる怒りを買ってしまう恐れがありますので、ワンパターンにならないやわらかい拒否の言葉をうまく使い、不快感を与えずに「どんなに言っても無理なのか」という気持ちに持っていくことが大切です。
そのためには、日頃からやわらかい拒否の言葉を何パターンも練習しておく必要があります。以下に、やわらかい拒否の言葉の例を示します。
上記のようなやわらかい拒否の言葉を、担当者の回答の言い出し時に何度もつけることで、徐々にお客様に対して「できない」ということが伝わり、お客様も自然と「これ以上は無理なのか」と諦めていくようになります。
クレーム対応では謝罪が基本となりますので、「申し訳ありません」「申し訳ございません」というフレーズは頻繁に使います。使うこと自体はまったく問題がないのですが、よかれと思って使い過ぎるのは逆効果となる場合があります。
「申し訳ありません」というフレーズを使い過ぎた場合、お客様と担当者の立場の違いに影響を与えることがあります。
「お客様は神様です」なんて言葉がありますが、「お店はサービスを提供する、お客は対価を支払う」という原則を改めて振り返ってみると、どちらか一方が立場が強いということはなく、本来は対等であるべきです。
クレーム対応をする上では、お客様と担当者の距離を縮めて信頼関係を築いていくことが大切ですが、ただひたすら「申し訳ありません」を連呼した場合、お客様が上、担当者は下という上下関係をより鮮明にしてしまいます。
また、「申し訳ありません」を連呼するだけでは「事務的な対応をしている」「何も考えていない」「こちらの話を聞いていない」と受け取られてしまうこともありますので、相手の状況に寄り添った謝罪の言葉、気遣いの言葉を用いるようにしましょう。
不当で理不尽な要求をされた場合は、相手に期待を持たせるようなはっきりとしない対応をするのではなく、時には毅然とした態度で対応する必要があります。
しかし、この「毅然とした態度」の意味を履き違えた対応を行ってしまい、お客様が余計感情的になってしまう場合がありますので注意が必要です。
毅然とした態度とは「意思がしっかりして、物事に動じないこと」ですが、「きっぱりと断る」「相手にしない」「冷たく切り捨てる」という意味に解釈している人がいます。
クレーム対応でこのような態度をとってしまうと、本来のクレームから脱線して「接客態度が悪い」「客を馬鹿にしている」などと二次クレームに発展しかねません。
毅然とした態度は「冷たい態度」ではなく、ゆるぎない意志を持つことですので、結論がぶれることなく、お客様に対して根気よく丁寧に説明を行い、諦めていただくよう努めることが大切です。
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