クレーム対応は対面で行えることが理想的ですが、電話やメールでの対応しかできないことも多々あります。その場合、お客様との十分なコミュニケーションが取れないために誤解を招き、クレームが余計にこじれてしまうこともあるので注意が必要です。
クレーム対応としてお客様とコミュニケーションを取るには、直接会って行うのが理想的です。クレームを訴えるお客様は商品やサービスの不備によって感情的になっていることもあり、メールや電話での連絡でこちらの意思が十分に伝わらず、クレームが余計にこじれてしまうのを防ぐためです。
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、話す人が聞いている人に与える影響は、視覚情報が55%、声のトーンなどの聴覚情報が38%であり、話の内容から伝わる情報はたったの7%しかないとされています。
つまり、メールや電話で伝える謝罪の言葉よりも、直接会って伝える謝罪の言葉は、言葉以上に伝わるものがたくさんあると言えます。
すべてのクレームに対して訪問対応することは非現実的であることから、社内で訪問対応と電話対応、メール対応についての基準を決めておく必要がありますが、重大なクレーム対応については訪問対応することを原則として考えるべきです。
ただし、訪問対応がどんなに理想的と言っても、直接お客様の家に押し掛けるのは大変迷惑であり、非常識な対応であると言えます。お客様の連絡先を知っている場合は、事前に電話にてアポイントを取るようにし、訪問対応を望まれない場合は、電話やメールでの対応に切り替えましょう。
なお、お客様のご自宅を訪問できるようになった場合は、いつも以上に身だしなみに細心の注意を払う必要があります。また、お客様からの案内がない限り、強引に家に上がったり、謝罪を受け入れてもらえるまで居座るなどの行為は絶対にやめましょう。
お客様からクレームの電話があった場合、お客様センターなどの窓口がある大きな企業であれば心構えができていますが、会社の代表電話に電話があった場合などは注意が必要です。
代表電話だけでなく、部署ごとの外線電話にクレームの電話が入る場合もありますが、電話を出る従業員がクレームの電話を想定していない場合、「自分に関係のない他部署宛の電話」という態度をとってしまいがちです。
電話越しにそのような態度が伝わってしまったり、どこに回せばいいのかわからず、結果として電話のたらい回しになることがあり、お客様の更なる怒りを買ってしまうことになります。
お客様は会社のどの電話にかけても、きちんとした対応がされ、問題が解決すると考えていますので、上記のような不誠実な態度が電話越しに垣間見えると、その会社自体に対する不信感が募る結果となります。
そのため、どんな部署においてもお客様からの電話があるという前提のもと、従業員に対してクレーム対応と電話応対の教育をしっかりと行い、電話に出た場合には誠実な対応を心掛けるようにします。
最終的に電話応対するクレーム対応の担当者については、電話転送によってお待たせしてしまったことをまずお詫びするようにすると、イライラしているお客様の感情が幾分緩和されます。
相手の表情も声のトーンも伝わらないメールの場合、謝罪の気持ちをお客様に伝えるのは非常に難しく、正しく書いたと思っていた文章でも、お客様には十分な誠意が伝わらず、きつく捉えられたり、冷たい印象、事務的な対応に感じられることもあります。
そのため、メールの文面は事務的な内容にならないよう心がけ、謝罪の言葉をいつも以上に重ねるくらいでちょうどよいと言えます。インターネットやSNSがこれだけ普及していますので、クレーム事例と併せて担当者が送った返信メールが公開されることも少なくありません。
文面の内容によっては、メーカーの不誠実な対応として拡散されることもありますので、クレーム対応として返信するメールの文面は社内でチェックしてから送信するようにします。
また、クレームメールを出したお客様は苛立ちや怒りを感じていることが多く、メールを送信した時点から「返信はまだか」とかなり気にされています。
メールをいただいた当日に返信することが理想的ですが、遅くとも翌日にはメールをいただいたことに対してお礼と謝罪のメールを返信するなど、迅速な対応を心掛けましょう。
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