クレーム対応をする上で、お客様とのやりとりを記録に残すことは非常に重要です。後々に言った言わないという問題を起こさないためにも、メモや録音といった形で記録を残すことが大切です。また、会話を録音すると宣言することは悪質クレーマーに対する抑止力にもなります。
クレーム対応で起こりやすいのが、「言った言わない」という問題です。この問題はクレーム対応に限らず、さまざまな状況でトラブルの原因になりやすいのですが、人間と人間が言葉のやりとりをしている以上、避けて通ることができません。
まして、クレーム対応中はお客様が感情的になっており、受け手もお客様から怒鳴られたりして頭が真っ白になっていることが多々ありますので、お互いの記憶というのは曖昧です。
また、人間は過去の記憶を自分の都合のいいように書き換えてしまうことがあります。そんな事実はなかったにせよ、その人の中では記憶が書き換わっているのですから、絶対的な事実とされてしまいます。
特にクレーム対応で多いのが、「過失を認めたじゃないか」「保障するって言っていた」など、いかにもお客様の要望に対して担当者が満額回答をしていたかのように話がすり替わっていることです。
このようなトラブルを防ぐためには、クレーム対応の記録をしっかりと残す必要があります。途中で担当者が変わったり、上司に報告する際にも必要となりますので、以下の要点を押さえた記録様式を事前に用意しておくとよいでしょう。
お客様とのやりとりを記録用紙に残していたとしても、不都合なことについては「そんなの知らない」と言い張るお客様もいます。この記録用紙は社内で使用しているものであり、毎回お客様に内容確認して承認印をもらっている訳ではありません。
そのため、「そっちが都合よく書いたんだろ」と言われればそれまでです。一般クレームであれば上記の記録様式で十分ですが、悪質クレーマーともなると簡単にはいきませんので、その場合はボイスレコーダーや電話の録音機能を使って会話を記録しておきます。
このボイスレコーダーはお互いの会話のやりとりがそのまま残っている訳ですから、裁判の際にも確実な証拠となり、悪質クレーマーの理不尽な反論を防ぐことにもつながります。
また、従業員のクレーム対応に関する検証や教育にも役立ちます。従業員が実際にどのような応対をしていたのか、どのようなことを発言することでお客様が感情的になったのか、音声という生の実例を交えて教育することができます
お客様との会話をこっそりと録音すること自体は違法ではありませんが、可能な限り会話を録音する旨をお客様に対して伝えるようにします。こっそり録音していたことが後で判明した時に、多くのお客様が「クレーマー扱いされていた」と感じ、気分を害してしまうからです。
また、事前に録音する旨を伝えることは理不尽な要求や、恫喝まがいの悪質クレーマーに対して抑止力として働きます。音声が残るということは、不用意な発言をすれば脅迫や恐喝の証拠にもなりかねず、感情的な発言や要求がしにくくなるからです。
コールセンターなどでは電話の冒頭に自動音声で「応対品質向上を目的として録音している」旨のアナウンスが流れますが、あれも同様の理由からです。
ただし、録音する旨をお客様に伝える場合は、上記のような抑止力や証拠としての目的を伝えては意味がありません。
「こちらの対応に不備があるといけませんので…」「適切に対応させていただくために…」のように、きちんと対応したいことを理由として伝えると、お客様の心証を悪くすることなく記録することができます。
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