クレーム対応でとても大切なのが事実確認です。お店や会社に過失があったのかどうかは、その後の対応の大きな分かれ道となりますので、慎重かつ正確に事実確認をする必要があります。また、お客様に対してしっかりと調査を行っているという姿勢を見せることも大切です。
クレームを解決するために欠かせないのが事実確認です。お客様がどんな主張をしていようとも、すべてを鵜呑みにするのではなく、しっかりとした事実確認を行う必要があります。
事実確認する際のポイントは大きく2つあり、1つは「お客様の主張が事実であるのか」、もう1つは「お店や会社に責任があるのか」ということです。当然のことながら、お店や会社に責任があるかどうかによって、その後の対応が大きく変わってきます。
ろくに事実確認をせず、お客様の言うことを真に受けて賠償などすることは、お店や会社にとって不利益でしかありません。
最悪の場合、事実確認を適切に行わなかったことによって、本来はお店や会社に責任があったにも関わらず、原因をお客様のせいにしてしまうことだってあります。
そのようなことをしてしまえば、クレーム解決には多大な時間を要するだけでなく、裁判に発展してしまうこともありますので、事実確認の調査は非常に重要です。
また、最終的に原因がはっきりとわからず責任の所在が明確にならないこともありますが、お店や会社が一生懸命に原因調査を行ったという姿勢はお客様に伝わりますので、クレームが解決に向かいやすくなります。
クレームの事実確認をする場合は、お客様の主張にしっかりと耳を傾けて詳細な内容を聴く必要がありますが、それ以外にも従業員や配達業者など、サービス提供に関係するすべての関係者にも聞き取りを行う必要があります。
人間の記憶力には限界があり、忘れたり、曖昧になったり、記憶がすり替わってしまうこともあります。お客様のほとんどは正しい主張をしている訳ですが、怒りの感情を抱いてしまうことで冷静さを欠き、事実が自分にとって都合の良い解釈に書き換えられていることもあります。
そのため、物事を客観的に捉えるためには関係者全員に聞き取りを行い、事実を総合的に判断する必要があります。
もちろん、それぞれの証言を裏付ける書面の記録(伝票や発送記録、レシートなど)やパソコンのデータ、防犯カメラの映像など、形として残っている記録があれば、それも重要な証拠として集めます。
人間の記憶は曖昧であり、お客様の記憶も書き換わってしまう場合があります。しかし、お客様にとっては書き換わった曖昧な記憶が、お客様にとっての確信的な事実となります。
その場合、「やった、やってない」「言った、言ってない」という不毛な争いに発展してしまいますので、形として残っている記録は双方が納得できるものとして非常に重要となります。
クレームを受けた場合、お店や会社は徹底した事実確認を行う必要がありますが、どんなに調査を行っても、必ずしもすべての事例で問題が解決するわけではありません。
お客様の訴えをもとに事実確認を行う訳ですから、再現できない、証明できない、原因がわからない、従業員の主張とまったく異なるというように、解明に至らないケースも多々あります。
そのような場合は、お客様もお店や会社側も釈然としない気持ちになりますが、双方が原因不明であるという事実を受け止め、諦めたり、納得したりしなければなりません。
ここで重要なのが、お客様に対して「事実確認の努力」が伝わっているかどうかです。お客様にとっては、クレームの内容が原因不明で片づけられることは納得できることではありません。
しかし、お店や会社側が一生懸命に調査を行った上で、どうしても原因究明に至らなかった場合、十分な調査を行った旨をお客様にしっかり伝える必要があります。
その努力がお客様に伝わることによって「お店や会社が十分に対応してくれた」という一定の満足感に変わり、受け入れやすい気持ちにさせることができます。
事実確認の調査は短時間で済むケースもありますが、商品を工場や品質管理部署に送って徹底した調査を行う場合、調査に長い時間を要する場合があります。
調査期間が長くかかることはあくまでもお店や会社の都合であり、お客様は今や遅しと担当者からの回答を待ち続けている訳ですから、お客様を放置し続けることはあってはならないことです。
お客様がクレームを訴える背景はさまざまですが、長く待たされることで不都合があるお客様だっています。
また、長い間放置されることで「本当に調査しているのか?」「調査する気があるのか?」「自分を軽視しているのか?」などという思いになり、さらなる不満や怒りを買ってしまうことにもなりかねません。
そのため、調査期間が長くかかってしまいそうな場合には、最低でも1週間に1回は連絡を入れるようにし、「現在どんな状況なのか」「どんな調査を行っているのか」「今後どれくらい時間がかかるのか」について報告をしておく必要があります。
このような定期的な報告があることで、お客様の安心感が増し、お店や会社、担当者に対して信頼感を抱くようになります。
仮に調査結果がお客様の納得できる結果ではなかったとしても、担当者が誠意を持って対応していたという事実がお客様に伝わっていることが大切です。
クレームを受けたその場で事実確認が行えなかった場合、調査には数日〜数週間の時間を要することになりますが、怒っているお客様を前にしてついやってしまいがちなのが、その場しのぎの安易な約束です。
お客様の怒りを鎮めようとするあまり、以下のような不確定な発言をしてしまうことがあります。
このようなはっきりと確定していないことを言ってしまった場合、担当者の地位や責任に関わらず、お客様にとってはお店や会社が「約束した」と捉えます。それが実行されなかった場合には更なる怒りを買ってしまい、二次クレームの原因となってしまいます。
クレームを対応している状況では言動に細心の注意を払い、曖昧な表現は避け、不確定な事実は伝えないよう心掛けましょう。
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