事実確認の結果、お店や会社に責任があると判明した場合は、余計な言い訳などせず正々堂々と謝罪することが大切です。お客様は担当者の姿勢や態度をいつも以上に見ていますので、気持ちがしっかりと伝わる謝罪を心掛けることが円満なクレーム解決に必要となります。
クレーム内容について事実確認を行った結果、お店や会社、商品やサービスに責任があると判明した場合には、お客様に対して真摯に謝罪をする必要があります。
責任の所在がはっきりした以上、正々堂々とお客様に対して謝罪しなければなりませんが、ここで注意したいのが「無意識な言い訳」です。人は怒られるとわかる状況下では無意識に口数が多くなり、理屈や言い訳を言って責任を逃れようとしてしまいます。
お客様からの叱責を恐れての行動ですが、謝られている側からしてみれば非常に見苦しい行動であり、謝罪の気持ちが非常に伝わりにくくなります。場合によっては「言い訳ばかりしている」「謝罪する気がない」とも受け取られてしまいます。
お客様は経緯や理由なんかよりも「責任がどこにあるのか?」を知りたいと思っていますので、調査結果や理由の説明は後回しにし、まずは「自分たちに非があったこと」を宣言した上で真摯に謝罪することが大切です。
お客様が謝罪を受ける際、謝罪の内容以上に見ているのが謝罪する担当者の態度と身だしなみです。責任がお店や会社にあるとわかった以上、お客様が要求するレベルはより上がっていますので、いい加減な態度、だらしない身なりなどあってはなりません。
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した通称「メラビアンの法則」によると、話す人が聞く人に与える影響の55%は見た目などの視覚情報、38%は声のトーンなどの聴覚情報であり、話の内容はたったの7%とされています。
ここで言う視覚情報とは担当者の態度や身なりを意味しており、どんなに立派な謝罪の言葉を伝えても、真摯に謝罪しているという姿勢が見られなければ、せっかく謝罪したところで、逆に怒りを買ってしまうことになります。
お客様の反感を買ってしまう態度や身なりとして、以下に代表例を示します。
お店や会社に責任がある状況で謝罪する場合は、最大限に堅い表現の言葉を用い、きちんとお客様に対して謝罪の気持ちを伝えることが大切です。
謝罪したつもりでも、きちんと気持ちが伝わっていなければ意味がなく、むしろ謝罪する気がないと思われ、二次クレームに発展することもあります。
そのため、普段使いの言葉ではなく、かしこまった堅い表現の言葉遣いをするよう心掛けると、お客様は「会社が今回の一件を重く受け止めている」と感じ、謝罪を受けれやすい心境となります。
また、強い謝罪と深い反省の気持ちとして受け取ってもらうために、謝罪の言葉に「大変」「深く」「誠に」「多大な」など、一言付け加えると謝罪の言葉に重みが出るようになります。
以下に、堅い謝罪表現に一言付け加えた言葉の例を示します。
謝罪の言葉は最大級に堅い表現を用いるべきですが、ついやってしまいがちなのが常連客や顔見知り客に対して友達同士かのような軽い謝罪をしてしまうことです。例えば、「悪かったね」「ごめんごめん」といった軽い表現です。
友達同士の口げんかならともかく、お客様に対して使う謝罪の言葉ではありません。
また、「すいません」「どうもすいません」「悪かったと思っています」など、店員としてはちゃんと謝ったつもりの言葉も、お客様にとっては反省と謝罪の気持ちを感じることができず、余計に怒りを買ってしまいます。
お客様に対して謝罪の気持ちが伝わらず、むしろ謝罪をすることでお客様を余計に怒らせてしまうなど本末転倒です。常連客だからと甘えてしまうことは、お客様からの信頼を裏切る行為にもなります。
逆に、謝罪すべき状況できちんとけじめをつけた謝罪をすることは、お客様からの信頼向上にもつながりますので、余計な言い訳などせず、謝罪の気持ちをしっかり伝える正しい言葉遣いで謝罪するようにしましょう。
お店や会社に過失があったことが判明しても、なかなか全面的な謝罪をすることに抵抗感のある担当者がいます。これは「謝罪したら要求を受けなければならない」と考え、賠償を恐れているからです。
確かに「謝罪したのだから慰謝料を払え」などと理不尽な要求をしてくる悪質クレーマーも一部には存在しますが、クレーム対応の大原則は「原状回復」ですので、謝罪したからといって理不尽な要求に応じることはありません。
仮にお客様と裁判になったとしても、法律で決められる賠償は「社会通念上認められる賠償の範囲」となります。
つまり、商品に欠陥があれば修理や交換、返金をする、お客様の服を汚したのであればクリーニングすることが常識的な範囲であり、それによって受けたとする精神的苦痛の慰謝料、架空の被害に対しては賠償をする必要がありません。
ですから、謝罪することを恐れることは一切なく、お店や会社に過失があった場合には正々堂々と謝罪するようにしましょう。
クレームに基づいて事実確認を徹底的に行ったとしても、原因不明に終わってしまうケースも多々あります。お店側に過失があったかもしれないし、お客様の勘違いや間違いかもしれません。
その場合、事実がわからないためにお店側もお客様も釈然としない気持ちになりますが、まずは「調査を行っても原因がわからなかった」ことをお客様に伝え、その上で謝罪をするようにします。
「責任の所在が不明なのにどうして謝罪するのか?」と疑問に思われる方もいますが、ここでの謝罪は初期謝罪と同様、お客様に不快な思いをさせてしまったことに対してであり、調査で待たせてしまったこと、来店などでお手間をかけてしまったことに対して謝罪をします。
ここで絶対にやってはいけないのが「お店側は悪くない」という態度です。責任の所在がわからなかったということは、お店側にも責任がある可能性が否定できておらず、お客様はお店側に責任があると確信しています。
そのような状況で「お店側は悪くない」という態度を取ることはお客様の更なる怒りを買ってしまうことになりかねません。
そのお客様がこれからもお客様でいてもらうためには、責任の所在が不明でも「お店側が精一杯お客様のために何かする」という姿勢を見せることが円満なクレーム解決につながります。
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